高畑由起夫(People vs Tech)

フォーディズムは労働者自身が中産階級化し、消費を拡大することで、フォードT型車のオーナーになることで、工業生産をさらに拡大する=近代化向上スパイラルを維持するもの。 そうした構図がポスト・フォーデイズムでは一変します。完全なマニュアル世界となり、熟練工さえ必要としない、流動的な非正規雇用者のみを必要とする世界に突入する。つまり、相互に愛もなく、機械の部品のように取り換え可能、いわば記号化された労働者たち。 こうなるとフォーディズム時代、家計維持者であった成人男性の大半が非正規雇用者と化し、若い者の中には親に依存せざるをえない(=パラサイト・シングル化)、さらに親が死ねば、完全なワーキングプアになってしまうというわけです。 それではワーキングプアの方々をセーフティ・ネットで救えばよいのか、といえば、実は、社会全体が変化している。そのセーフティ・ネット自体がフォーディズムを前提しているのですから。